九段下の寿々木で
豆かんを食べる
どうやって煮たのか
豆は丁度よく柔らかい
ふっくらではない
ほくほくでもない
口のなかで崩れるわけでもない
うま味を感じるというわけではない
塩気を感じるわけでもない
皮がかたいという感じはしない
ただ ただ おいしい豆
その下の寒天は
ぷるんぷるんと爽やかで
口が喜んでいるのがわかる
蜜は上品で
甘さは控えめで
香りも控えめで
豆と寒天に優しさと甘さを加えている
浅草の梅むらのように
次から次へと人が来るわけでない
静けさのなかで食べる豆かんは
おいしい
その時間は
心地いい
(sk)
第462作
Mamekan